最近は、ドリップ式のコーヒーメーカー以外に、詰め替え式コーヒーマシンとカプセル式コーヒーメーカーが出てきました。詰め替え式コーヒーマシンは、大量のコーヒーパウダーをマシンにセットしておくことで、ボタンを押すだけでコーヒーを入れてくれますし、カプセル式コーヒーメーカーは、飲む度にコーヒーが入ったカプセルをマシンにセットし、ボタンを押すことでコーヒーを入れることができます。つまり、コーヒーがどのような形でマシンにセットされるかが、違うだけともいえるのです。
ですから、実際に使ってみたことがない人の中には、「毎回カプセルをセットするのは面倒くさいから詰め替え式がいい」と感じる人もいます。しかし、清掃においては、カプセル式のほうが格段に楽なので、面倒くさがりの人には詰め替え式は向いてないかもしれません。
ここでは、詰め替え式コーヒーマシンとカプセル式コーヒーメーカーについて、実機を使って比較してみました。
詰め替え式コーヒーマシンとカプセル式コーヒーメーカーの違いは?
ここからは、詰め替え式コーヒーマシンのサンプルとして「ネスカフェ ゴールドブレンド バリスタ」シリーズ、カプセル式コーヒーマシンのサンプルとして「ネスカフェ ドルチェグスト」シリーズを例として、それぞれの特徴をご紹介しましょう。
まずは、基礎知識と使い方です。特に、メンテナンスは使い勝手を大きく左右しますので、どのような差があるのかご確認ください。
バリスタシリーズの基礎知識と使い方
ネスカフェのバリスタシリーズは、イタリアのバール(日本のカフェのような店)でコーヒーを作る人を指す、コーヒー版のソムリエともいえる「バリスタ」の名を冠したコーヒーマシンシリーズです。
機種によっては、コーヒーの量と水の量を細かく設定できますので、コーヒーの濃度を調節した自分好みのコーヒーを入れることができます。また、「カプチーノ」「カフェラテ」といったメニューでは、「泡立ち」についての設定も可能です。使い方は、以下のような流れとなります。
1. 給水タンクを洗浄し給水する
使用する際は、給水タンクを軽く水洗いし、タンクに給水して本体にセットします。
2. コーヒーパウダーをセットする
コーヒーパウダーをコーヒータンクにセットします。コーヒーパウダーが入っていれば、この作業は省略できます。誤ってボタンを押すと危険なので、作業は電源を切った状態で行いましょう。
3. 本体のすすぎを行う
電源コードをコンセントに挿し、電源をONにします。そして、ドリップトレイにカップを載せ、「カプチーノ」ボタンを押して本体のすすぎをします。すすいだお湯はカップに入るので、捨ててください。
4. 5種類のメニューから好きなコーヒーを選ぶ
コーヒーカップを置き、「カプチーノ」「カフェラテ」「エスプレッソタイプコーヒー」「ブラックコーヒー」「マグサイズブラックコーヒー」から、お好きなメニューを選びボタンを押します。
カプチーノやカフェラテを飲む場合は、事前に「ネスレ ブライト」をカップに入れておく必要があります。
以上の流れで、きめ細かなクレマ(泡)たっぷりの本格コーヒーが出来上がります。つまり、コーヒーパウダーと水がセットされていれば、「ボタンを押すだけでコーヒーが飲める環境」が実現するのです。
しかし、衛生的でおいしいコーヒーを飲むためには、メンテナンスが必要です。例えば、コーヒーマシンを使用した日には「給水タンク」「コーヒー抽出部のカバー」「フィルター」「攪拌部」「攪拌部カバー」「ドリップトレイ」「ドリップグリッド」の清掃が必要です。
さらに、週1回程度は「コーヒー計量器」「計量器底板」の清掃もしたいところです。また、コーヒーパウダーを入れ替える際には、「コーヒー計量器」「計量器底板」「計量器プレート」を清掃する必要があります。
ドルチェグストの基礎知識と使い方
カプセル式コーヒーメーカーには「ジェニオ2 プレミアム」などがあります。カプセル式コーヒーメーカーの特徴としては、カプセルを変えることで、毎回違う味を楽しむことができるということです。
カプセルの種類としては、「リッチブレンド」「オリジナル ブレンド」のほか、「カプチーノ」「カフェオレ」「ラテ マキアート」などのアレンジコーヒーも楽しめますし、「宇治抹茶」「ティーラテ」「ソイラテ」なども楽しめます。
バリエーションが豊富だと入れ方がたいへんそうですが、カプセルごとに設定が書いてありますので、困ることはありません。実際の使い方は、以下のような流れとなります。
1. 給水タンクを洗浄し給水する
給水タンクを軽く水洗いし、タンクに給水して本体にセットします。給水は、タンクにあるMAXの目盛り位置以上に入れないように注意してください。
2. 本体のすすぎを行う
カプセルホルダーに「すすぎ用ツール」をセットし、電源をONにしてすすぎを行います。すすぎは、抽出レバーを上に倒して目盛りを最大にし、抽出レバーを左に倒します。終わったら、すすぎ用ツールを外します。
3. コーヒーカプセルをセットする
コーヒーカプセルをカプセルホルダーにセットします。「カプチーノ」や「宇治抹茶ラテ」など、カプセルが2個以上必要なメニューは、ミルクカプセルから入れます。
セットが終わったら、抽出レバーを上下に倒し、カプセルに書いてある目盛りに設定します。あとは、抽出レバーを右に倒せば、抽出が開始されます。
4. 使用済みコーヒーカプセルを捨て、カプセルホルダーを洗浄する
抽出が完了したら、ロックハンドルを上げてカプセルホルダーを取り出し、使用済みカプセルを捨てます。取り出したカプセルホルダーの両面を水道水ですすぎ、乾かしてから本体に再びセットします。
以上の流れで、さまざまな種類の本格コーヒーが作れます。つまり、水がセットされ、すすぎが終わっていれば、「カプセルをセットしてレバーを倒すだけで飲める環境」が実現します。
メンテナンスはカプセルを捨てることと、カプセルホルダーを洗浄するだけです。これだけの作業であれば、毎回行ってもそれほど手間ではありません。
詰め替え式コーヒーマシンとカプセル式コーヒーメーカーのコストは?
バリスタシリーズとドルチェグストの特徴の次は、コストについてです。導入コストについては、「ネスカフェ ゴールドブレンド バリスタ i[アイ]」で5,979円(税込)、ドルチェグストの「ジェニオ2 プレミアム」で9,800円(税込)となっており、どちらも10,000円以下で購入可能です。
また、どちらもコーヒーを定期購入することで、本体が無料でレンタルされるプログラムがあります。購入するにしても、お金を支払うのは最初だけですので、おいしいコーヒーを飲むための投資と考えましょう。
むしろ考えるべきはランニングコストです。ここでは、詰め替え式コーヒーマシンとカプセル式コーヒーメーカーのランニングコストの差を見ていきましょう。
・詰め替え式コーヒーマシンのランニングコスト
「ネスカフェ ゴールドブレンド エコ&システムパック 105g」を使った場合、コーヒーを55杯も抽出できるとされており、1日5杯飲んだとしても11日間持ちます。値段も「エコ&システムパック定期お届け便」なら、1パック740円(税込)。1杯あたり約14円とかなりリーズナブルです。
グレードの高いコーヒーである「ネスカフェ プレジデント エコ&システムパック 60g」でも1杯あたり約27円しかかかりません。つまり、詰め替え式コーヒーマシンのランニングコストは、かなり安いことがわかります。
・カプセル式コーヒーメーカーのランニングコスト
カプセル式コーヒーの値段は種類によって変わりますが、1杯50円くらいの物から100円くらいの物まであります。つまり、詰め替え式に比べて倍以上かかる計算になります。
これは、1ヵ月のトータルコストになるとかなりの差となります。ランニングコストだけ見ると、詰め替え式よりもコストが高くなります。
詰め替え式コーヒーマシンとカプセル式コーヒーメーカーの味の違い
ランニングコストとしてはかなりの差が出ましたが、味の違いはどうなのでしょうか?
・詰め替え式コーヒーマシンの味
詰め替え式コーヒーマシンでは、丁寧に焙煎したコーヒー豆を微粉砕し、ネスレ独自のコーヒー抽出液で包むことでコーヒー豆の酸化を回避した、「ネスカフェ レギュラーソリュブルコーヒー」を入れることができます。
実際にコーヒーを入れて見ると、カップ上面にきめ細やかなクレマ(泡)がたっぷりと広がっており、インスタントコーヒーとは別次元のビジュアルです。味もインスタントコーヒーのようにただ苦いだけではなく、口の中に酸味と苦味がまろやかにミックスされていて、とてもおいしく感じました。
コーヒーの種類にはグレードがありますが好みもありますので、味とコストのバランスを見ながら、お気に入りのコーヒーを見つけてください。「ちょっと苦いかな?」と思っても、コーヒーと水の設定を変えて抽出すれば、自分好みになるケースもありますよ。
なお、詰め替え式は、一度セットしてしまえば、飲み終わるまでほかの味に変えることできないのが難点です。
・カプセル式コーヒーメーカーの味
カプセル式コーヒーメーカーの場合、コーヒー豆を真空パックしたカプセルなので、コーヒーの鮮度は挽き立て同様といってもいいでしょう。
実際に飲んでみた感想としては、「エスプレッソ」などは、味もビジュアルもコーヒーショップレベルのおいしさです。
また、カプセル式はバリエーションが豊富で、いつでも自由に好きな味が楽しめるのもポイントです。コーヒーの種類だけでもたくさんあり、アメリカンコーヒーのようなたっぷり飲めるタイプから、1杯で頭をスッキリできる濃いタイプまでそろっています。
さらに、専用のミルクカプセルを使う「カプチーノ」は、フォームミルクのきめ細やかさに脱帽です。さらに、抹茶系のカプセルがあるのも魅力です。
手間とランニングコストと味で選ぼう
コーヒーを低コストで、大勢で飲みたいなら詰め替え式コーヒーマシン、コストはかかっても家で毎日違う味を楽しみたいのならカプセル式コーヒーメーカーというようなイメージがあるかもしれません。
最終的にどちらを選ぶかは、「入れる手間」と「ランニングコスト」そして「味」の中で何を優先するかです。本記事を参考に、自分自身でどのようなコーヒーライフを送りたいかを考えながら、最適なコーヒーメーカーやコーヒーマシンを選んでください。